mathjax

2018年8月19日日曜日

ヘッドホン・アンプ製作実例集 CQ出版社

[DAC基板付き]ヘッドホン・アンプ製作実例集: プロ用高出力タイプから低雑音フルディスクリート・タイプまで (電子工作Hi-Techシリーズ) 
[DAC基板付き]ヘッドホン・アンプ製作実例集: プロ用高出力タイプから低雑音フルディスクリート・タイプまで (電子工作Hi-Techシリーズ)

CQ出版社の「ヘッドホン・アンプ政策実例集」を読んで、アナログ電子回路の勉強をすることにした。テストでそれなりの点は取ったけれど、全く身に付かなかった技術。ずっと後ろめたさを抱えながら、騙し騙しやってきた。

自分が読んでいて、躓いたところをメモしてゆく。

p13 普段聴いている携帯プレーヤー側の音量設定が20%~30%で使えることを想定して、増幅率(ゲインを)、3~5倍程度にするとあるけれど、あれ?聴感の音の大きさって、振幅だと対数的になるんじゃなかったっけ?いや、携帯プレーヤーの20%~30%というのがそもそもどういうことを意味しているのか不明確だから(「携帯プレーヤーの画面やボリュームスイッチで目盛りが20%~30%になる所」とは何処にも書いていない。きっと信号の振幅が最大の20%~30%になる所の意味なのだろう。それってユーザーには見る手段が無いけれど。)ちょっと保留する。□

p14 「ゲイン周波数特性は10Hz以上~100kHz以下」。あれ?自分の持っているお気に入りのヘッドホンは周波数特性5Hz - 50,000Hz。けれどヘッドホンアンプは20Hz~80kHz±3dB(at 1kHz、32Ω負荷、100mW出力時)。低音があんまり聴こえないのはアンプのせい?(5Hz~20Hzとか鳴っても聞こえないと思うけど、、、、)⇒LIVEなんかで使われる大きなスピーカーでも30Hz~とか40Hz~とかだった。身体にズンズン来る音はそこまで低い周波数ではないらしい。

p15 実効値。実効値は普通↓だけれども、
$$V_{s}=\frac{V_{max}}{\sqrt{2}}$$
ここでは振幅が0.8Vp-pなので、片側の振幅はその半分で、
$$V_{s}=\frac{0.8}{2\sqrt{2}}$$
になっている。

"⑤最大出力電力 一般的なヘッドホンの感度は100dB/mW以上ありますから、10mW程度の出力で十分な音量が得られます"。10mWで十分だということは分かったけれど、先に書かれている理由の意味が分からない。□

p16 ボリューム周辺の回路。「詳しくはあとで説明」するとあるのに、気になってひっかかってしまう。

p17 抵抗から発生している雑音の影響を考慮する。ここ、説明が良くない。情報が最初に羅列されて、あたふたしてしまう。ポイントをまずは説明すべき。ポイントとしては、

  1. 仕様に定めた入力換算雑音電圧密度VNinというのは、出力の雑音電圧密度VNoutをゲインの大きさで割ったもの。
  2. 出力の雑音電圧密度VNoutは、抵抗による熱雑音とOPアンプが発生する熱雑音が要因となる。
  3. OPアンプが発生する熱雑音は、ターゲットとする入力換算雑音電圧密度に対して、1桁ぐらい雑音が小さなOPアンプと選ぶことで対応する。
  4. 抵抗による熱雑音は抵抗値が大きくなるほど大きくなる。
  5. 抵抗による熱雑音はRS, RA, RFで構成されるが、RSとRAは係数で(G-1)2やG2が掛かるので影響度が高い。RFは係数1なので影響度は低い。
  6. 抵抗による熱雑音を小さくするにはRSとRAを小さくすればよい。どれくらい小さくしなければいけないかの簡易計算方法がp18から。

p18 R5, R7の抵抗値を決める。ここでも説明が良くない。何をしようとしているのかをまず説明しないと。

抵抗による換算雑音電圧密度VRNは、RSとRAの影響が支配的なので、RAによる熱雑音が最悪値となるRAの最大値を求め、下記のような方法でR5, R7の許容できる最大値を求めている。RAOPアンプの非反転入力端子から見たインピーダンスなので、まずはこれを求める必要がある。
$$V_{RN}=\sqrt{\left\{\left(G-1\right)\sqrt{4kTR_S}\right\}^2+\left(G\sqrt{4kTR_A}\right)^2+4kTR_F}\\
V_{RN}\approx\sqrt{\left(G\sqrt{4kTR_S}\right)^2+\left(G\sqrt{4kTR_A}\right)^2}\\
\frac{V_{RN}}G\approx\sqrt{4kTR_S+4kTR_A}\\
\sqrt{\left(V_{RN}/G\right)^2-4kTR_A}\approx\sqrt{4kTR_S}=V_{NR5}=V_{NR7}$$


ヘッドホン・アンプの入力インピーダンスとOPアンプの非反転入力端子から見たインピーダンスが図1-3で示されているが、なぜ図1-3のようになるのかの説明が無い。ヘッドホン・アンプの入力インピーダンスの方はR1Kohm+ VR1の対GNDまでの抵抗値(本当はVR1の方はR3 100kohmと並列の抵抗値だけれど、1桁違うので誤差程度)。信号源のインピーダンスは入力端子をGNDにショートしたと考えるのかな?あ、図1-3の説明に「信号源インピーダンスは0Ωとする」って書いてあった。やっぱりそうだ。p18でも図1-3でも'OPアンプの非反転入力端子から見たインピーダンス'と'信号源のインピーダンス'を同じ意味として扱っているけれど、同じ図の説明に'信号源インピーダンスは0Ω'っておかしいでしょ。あくまで'OPアンプの非反転入力端子から見たインピーダンス'と書かないといけない。

これまで、抵抗から発生する熱雑音というものを意識したことが無かった(習ったのかもしれないが全く忘れ去っていた)ので、検索してみた。
抵抗から発生する熱雑音と抵抗値の関係 | CQ出版社 CQ connect
SPICE実用電子回路講座 第14買い 電子部品から生じる雑音の解析 
なるほど。

  • 雑音は温度・抵抗値・周波数帯域幅の席の平方根に比例する。
  • 単位体積幅当たりの雑音電圧を雑音密度と言う。



RAに相当するOPアンプの非反転入力端子から見たインピーダンスの最大値が10kohm。ここから発生する熱雑音は、\(V_{nTin}=\sqrt{4kTR}\)に代入して\(12.9nV/\sqrt{Hz}\)。


仕様としている入力換算雑音電圧密度vDNIからRAによる熱雑音を取り除くと、
$$\sqrt{\left(V_{RN}/G\right)^2-4kTR_A}\approx\sqrt{4kTR_S}=V_{NR5}=V_{NR7}\\
\sqrt{\left(39\times10^{-9}\right)^2-\left(12.9\times10^{-9}\right)^2}\approx36.8nV/\sqrt{Hz}\approx\sqrt{4kTR_S}\\
R_{s}=\frac{\left(36.8\times10^{-9}\right)^2}{4\times1.38\times10^{-23}\times300}=81.7k\Omega$$
この値がRSに対して許容可能なワーストの最大値。

p19 RSは、抵抗値が小さい方が熱雑音も小さくなる。しかし、OPアンプに対する負荷があまりに大きい(=インピーダンスが低くなる)と、OPアンプが駆動できなくなる。(=必要となる出力電圧を出せなくなる。)

図1-1のOPアンプの交流的な負荷は

  • (R9+ヘッドホンのインピーダンス)//(R5+R6)
  • (R10+ヘッドホンのインピーダンス)//(R7+R8)
OPアンプの交流的な負荷が(R9+ヘッドホンのインピーダンス)、(R10+ヘッドホンのインピーダンス)からあまり大きくならないように(R5+R6)、(R7+R8)をそれらから少なくとも1桁ぐらい大きな値になるよう選ぶ。

p26 最大出力電力からR9、R10を選ぶ。要求仕様で最大出力電力Pout[W]を負荷抵抗が32Ωのとき0.01Wとしているので、負荷抵抗に流れる電流の最大値ILmax[ARMS]は、
$$I_{Lmax=\sqrt{0.01/32}\approx17.7mA_{RMS}}$$
R9を求めるには下記の式を解くことになるが、
$$\frac{V_{Omax}}{I_{Lmax}}=R_9+R_L\\
R_9=\frac{V_{Omax}}{I_{Lmax}}-R_L$$
この式へ代入している値が、「適切ではないのでは?」と思う。

25mApeak (=17.7mARMS×√2)流れたとき、最大出力電圧VOmaxが、電源電圧が±4.5Vよりも2.2V低い±2.3Vpeak  (=4.6Vp-p)になる。という計算をしているのに対して、OPアンプのばらつきを考慮するとVOmaxが±2.0V  (1.41VRMS)と仮定して、
$$R_9=\frac{1.41}{17.7\times10^{-3}}-32\approx47.7\Omega$$
と代入しているけれど、分母は1.41Vではなく2.0Vとすべきではないのか?なぜなら電流が25mA流れて出力が2.2V下がるのはピークであって、RMSでいえば17.7mAになる。17.7mAであれば出力は2.0V下がるかどうかというレベルになる。つまり±2.5V出る。それなのに、ばらつきで±2.0Vpeakしか出なくなることを想定し、1.41VRMSとするのは、何だか納得がいかない。(いろいろ変動してしまうものの、厳しい側をとって計算を簡易にしているのだろうけれども。)



0 件のコメント:

コメントを投稿