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2018年12月27日木曜日

演習で学ぶ基礎制御工学 新装版 を読む。

『演習で学ぶ基礎制御工学 新装版』著者は森 泰親 教授。


森先生は、手抜きをしないポリシーだ。全ての演算を理解して進もうとするといつまでもゴールに辿り着かないので、理解に時間がかかる所は「これが分からないと、実用上問題があるか?」と自分に問うてみた方が良い。ひとまず置いておいて、最後までやってから今一度見直したら、すっと理解できることもあるかもしれない。

「まえがき」のiiのページに「本書の構成」という図がある。こういう風に全体のどこをやっているのかというのが分かるのは良い。こういうものをやっていると、今どのくらい来ているのか、これが何と関係して来るのかが分からなくて余計に辛い。なるほどここをやっているのかと分かれば、少しは気が紛れる。(むしろ、まだ、これしかやっていないのかと落胆する方が多いのだが。)

第1章 システムと制御


文章が固い。森先生は真面目だ。さらっと流す。

第2章 ラプラス変換


"線形システムの動特性"。早速何のことだか分からない。今時点で第3章の終わり近くまで来ているが、未だに"動特性"が何なのかは一切説明されない。

この章ではキッチリカッチリ、ラプラス変換を行うことが目的となっている。定義だけが提示され、ラプラス変換が何なのかということはほぼ説明されない。
(私は前日をラプラス変換の理解に費やした。ゆえにこの章は「ああ、計算してるんだな」と気楽に読める。)

森先生はラプラス変換の変換表を載せていない。全てゴリゴリ変換し、その変換の様子を身体に覚えさせろと言わんばかりだ。私は石村園子さんの『やさしく学べる ラプラス変換・フーリエ解析 増補版』p81,p82にあるラプラス変換の$\mathcal{L}^{-1}$表1、$\mathcal{L}^{-1}$表2を参考にラプラス変換、ラプラス逆変換を行うこととした。

ちなみに、第2章の演習では、指数関数、単位ステップ関数、単位インパルス関数などのラプラス変換が計算されている。ここは単位ステップ関数、単位インパルス関数の紹介も兼ねているので、どのような関数なのかはよく読んで理解しておいた方が良い。(ラプラス変換は時間は0より前は存在してはいけないので、t=0から1になってそれが続く単位ステップ関数が大事なのだ。

また、演習2.9で時間関数$x(t)$を右側に$\tau$だけ推移させた関数$x(t-\tau)$のラプラス変換が説明されている。第3章の演習3.14のむだ時間要素にこれが必要になる。


第3章 伝達関数


"線形システムの入力信号から出力信号までの動特性を伝達関数で表現しよう"。第2章では伝達関数は「入力信号と出力信号のラプラス変換」と関連があることは示されたが、ここではもう一歩踏み込み「入力信号と出力信号を別々にラプラス変換した後、それらの比から伝達関数を求めることができる」と書かれている。また動特性はラプラス変換が行われるとの表現があり、時間関数である可能性が見えてきた。

3.1 信号の伝達。ここは説明が良くない。図3.1は単位インパルス応答だけを示した図ではない。単位インパルス応答は図の右側だけだ。そして微妙に単位インパルス関数の説明が続くが、その定義はp5でしっかりと確認をした方が良い。

演習3.1、演習3.2。これらが森先生見せどころの力業である。これらの式の展開を理解するのに1時間ぐらい頭を悩ませたが、分からないからもういい。展開は理解しない。先生は演習3.1で、線形システムの入力信号から出力信号の関係が式(3.1.5)の畳み込み積分で表現されることを示し、演習3.2で、この畳み込み積分をラプラス変換することで「入力信号$u(t)$のラプラス変換に単位インパルス応答$g(t)$のラプラス変換を掛けると出力信号$y(t)$をラプラス変換したものになる」と言うことを示している。そして単位インパルス応答$g(t)$のラプラス変換$G(s)$が伝達関数であることもここで示された。

ステップ応答を求めたければ、ステップ信号のラプラス変換を伝達関数に掛け合わせて、ラプラス逆変換すればよいのである。

ちなみに、演習3.7、3.8、3.9に於いて展開定理というものが出てくる。知らなかったのでこちらのサイトを参考にさせて頂いたが、Heavisideの展開定理による部分分数分解というものだった。高校では習わず大学以降で習うのだとか。習った記憶が無い。式(3.1.25)のように部分分数に展開したいとき、
$$Y(s)=\frac2{s^2+3s+2}=\frac2{(s+1)(s+2)}=\frac a{s+1}+\frac b{s+2}$$
部分分数の各分母を掛けて、それが0となるsの値を代入すると、分子の数が算出できるというものだ。途中を全部書くと、
$$\begin{eqnarray*}{\left.(s+1)Y(s)\right|}_{s=-1}\\
=\displaystyle\left.\cancel{(s+1)}\frac2{\cancel{(s+1)}(s+2)}\right|_{s=-1}&=&{\left.\cancel{(s+1)}\frac a{\cancel{s+1}}\right|}_{s=-1}+{\left.(s+1)\frac b{s+2}\right|}_{s=-1}\\=\displaystyle{\left.\frac2{s+2}\right|}_{s=-1}&=&a+{\left.(s+1)\frac b{s+2}\right|}_{s=-1}\\=\displaystyle{\frac2{-1+2}}&=&a+{(-1+1)\frac b{-1+2}}\\2&=&a\end{eqnarray*}$$
というように、計算したい部分分数以外は、0を掛けられたことになるので消えて、分子の数が計算できるようになる。

演習3.15の結論に
$$\begin{equation}
G(s)=\frac{V_o(s)}{V_i(s)}=\frac1{RCs+1} \tag{3.2.6}
\end{equation}$$
"この形の伝達関数をもつ要素を一時遅れ要素,もしくは一時遅れ系と言う."とあるのだけれど、この形が具体的に何を指しているのかが示されていない。演習3.19の解説から類推するに「分母がsに関する1次多項式になっているこのような伝達関数を持つシステムを,一時遅れ要素あるいは一時遅れ系とよぶ」のだろう。

演習3.18にダシュポットという初めて聞く言葉が登場した。調べたところダシュポットはダンパーの一種だった。これまでの例は電気系だったが、これは機械系。バネ・マス・ダンパ系のシステムとか言うらしい。こちらのサイト→「バネマスダンパ系」を拝見してまずは概要を理解。

ばねはフックの法則。高校物理。ばねはばねの伸びx[m]に比例した力Fが伸びの反対向きに働く。ばね定数K[N/m]とすると、
$$F=Kx$$
ダンパはダンパの速度v[m/s]に比例した力が速度と反対の向きに働く。粘性減衰係数D[Ns/m]とすると、
$$F=Dv$$
速度は変位x[m]の微分なので、
$$F=D\dot{x}$$

第4章 ブロック線図


計算で伝達関数を導き出しブロック図にするのかと思っていたが、演習4.7をみると、きっかけとなる計算式は用いるものの、凡そはブロック線図の変形から伝達関数を導き出しているようだ。時間がかかりそうなのでこれに取り組むのは後回しにするけれど、大事な要素のように思う。


第5章 周波数応答


ここにきて説明が極めて雑になった印象。導入の文章に"システムが線形であれば,どのようなときもまったく同じ応答をするかというと,そうではない.たとえば正弦波を入力する場合,振幅一定のままで角周波数を変えると出力信号の振幅は変化する"とある。システムの応答はいつでも伝達関数に従って出力となるはずで、同一の入力には同一の応答が現れる。角周波数が異なる入力を与えれば、それは即ち入力が異なるので、出力も変化しているというだけのこと。制御を説明する書籍に於いて、この文章はどうかと思う。

演習5.1 "伝達関数$G(s)$の$n$個の極$p_i$は相異なる安定極とする"という説明があるが、全く何のことか分からない。この本では極の説明や安定極の説明はこのp46まで現れていないと思う。また本書の後ろのどこかにこの説明があるのかもパッと見た感じでは見つからなかった。非常に不愉快だ。いったん本書を止めて別の本で理解を深めることにする。

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