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2019年1月2日水曜日

はじめての制御工学 講義07~ を読む

7.1 定常特性
この本は説明すべきことをまずまとめて書くということを行うべきだ。ダラダラとした説明の中から、本筋を見つけ出ることから始めなければならず、非常に読み辛い。


時間が十分に経過した後、応答が一定値となるときこれを定常値と呼ぶことを講義05で述べた。伝達関数から定常値を求める方法を説明する。

時間領域では、定常値はシステムの応答 $y(t)$ の $t \rightarrow \infty$ での極限値であり、$$\lim_{t\rightarrow\infty}y(t)$$で計算できるが、実際には、$t\rightarrow \infty$まで待たずに応答が十分一定値とみなせるところの値を定常値とする。このようにシステムの応答の数式が得られれば、定常値は計算できる。

システムの応答を計算しなくても、$sY(s)$ が安定ならば(= $t \rightarrow \infty$ で発散しないなら)、s領域で、最終値定理を用いて、
$$\lim_{t\rightarrow\infty}y(t)=\lim_{s\rightarrow0}sY(s)=\lim_{s\rightarrow0}sG(s)U(s)$$で求めることが出来る。$sY(s)$ が安定ではない場合は間違いになる。


7.2 過渡応答と安定性
大事なことがさらっと書いてある。

一般的な動的システムは次の微分方程式で表される.
$$\begin{align}\frac{d^ny(t)}{dt^n}+a_{n-1}\frac{\displaystyle d^{n-1}y(t)}{\displaystyle dt^{n-1}}+a_{n-2}\frac{\displaystyle d^{n-2}y(t)}{\displaystyle dt^{n-2}}+\cdots+a_1\frac{\displaystyle dy(t)}{\displaystyle dt}+a_0y(t)\notag\\=b_m\frac{\displaystyle d^mu(t)}{\displaystyle dt^m}+b_{m-1}\frac{\displaystyle d^{m-1}u(t)}{\displaystyle dt^{m-1}}+\cdots+b_1\frac{\displaystyle du(t)}{\displaystyle dt}+b_0u(t) \tag{7.11}\end{align}$$
システムの伝達関数は,システムの特性を表す微分方程式のすべての初期値を0として,両辺をラプラス変換すればよい.
$$\begin{align}\mathcal{L}[f'(t)]&=sF(s)-f(0)\tag{3.46}\\
\mathcal{L}[f^{(n)}(t)]&=s^nF(s)-s^{n-1}f(0)-s^{n-2}f’(0)-\cdots-f^{(n-1)}(0)\tag{3.47}\end{align}$$
より,
$$\begin{align}(s^n+a_{n-1}s^{n-1}+a_{n-2}s^{n-2}+\cdots+a_1s+a_0)Y(s)\notag\\=(b_ms^m+b_{m-1}s^{m-1}+\cdots+b_1s+b_0)U(s)\tag{7.12}\end{align}$$
よって,一般的な動的システムの伝達関数 $G(s)$ は,
$$G(s)=\frac{Y(s)}{U(s)}=\frac{b_ms^m+b_{m-1}s^{m-1}+\cdots+b_1s+b_0}{s^n+a_{n-1}s^{n-1}+a_{n-2}s^{n-2}+\cdots+a_1s+a_0}\tag{7.13}$$
と表される.


ここからまた何処がポイントなのか分からない長ったらしい説明がずらずらと続く。
伝達関数がプロパー($m\leq n$)だったり、厳密にプロパー($m<n$)だったりの説明が出てきて、「因果律を満たしている」ともいうとか注釈までつける癖に、それがどういう意味なのかは示さない。ダラダラ続く説明なのか証明なのか分からない文章を追う気力が生まれないので、他の本を見ていた所、ダメ本だと思っていた(訳は間違いなくダメ)「エンジニアのためのフィードバック制御入門」に明快な説明が載っていた。


訳だけを見ても何を言いたいのか理解できないので、英語の原書も購入し、双方を見比べながら理解した。(英語版だけでは理解できない自分も不甲斐ないが)

23章 極と零点

である。

23.1 伝達関数の構造

伝達関数が上の式(7.13)のようになる所までは同じ。それで、これは
$$G(s)=\frac{k(s-z_1)(s-z_2)\cdots(s-z_m)}{s^r(s-p_1)(s-p_2)\cdots(s-p{r_{n-r}})}$$のように複素平面上では因数分解が可能。(「はじめての制御工学」の式(7.18)もそれを説明しようとしている。)

$s$ が $z_k , (k=1,\cdots,m)$ に等しいとき、伝達関数は0になる。$z_k$ は伝達関数 $G(s)$ が0になる点なので零点と呼ばれる。(=伝達関数の分子多項式の根を零点と呼ぶ。)

同様に$s$ が $p_k , (k=1,\cdots,n-r)$ に等しいとき、伝達関数の分母は0になり、伝達関数は「爆発 (blows up)」する。$p_k$ は伝達関数 $G(s)$ の (pole) と呼ばれる。(=伝達関数の分母多項式の根を極と呼ぶ。同書の記載には無いが、$s^r$が有る場合これが0になるs=0も極になる。)

23.2 極と零点の影響

零点の影響 $Y(s)=G(s)U(s)$ なので、出力 $Y(s)$ は $G(s)$ が0ならば、入力 $U(s)$ とは無関係にいつでも0になる。更に、sが零点に近いときには、$G(s)$ が厳密には0にならなくても、その値は小さくなるので$Y(s)$ は伝達関数の零点の近傍でも小さくなる。零点は信号の伝達を遮る。

極の影響 伝達関数を部分分数に分解して考える。有理関数(=分数形式で表される式で分母と分子が多項式で表現されるもの)は、必ず部分分数に分離できる。
$$G(s)=\frac{A_1}{s-p_1}+\frac{A_2}{s-p_2}+\cdots+\frac{A_n}{s-p_n}$$
これに対応する単位ステップ応答 $y(t)$ は
$$e^{pt}=\mathcal{L}^{-1}\left[\frac1{s-p}\right]$$
なので、
$$y(t)=A_1e^{p_1t}+A_2e^{p_2t}+\cdots+A_ne^{p_nt}$$
となる。単位ステップ応答の挙動は各 $A_ke^{P_kt}$ の重ね合わせなので、それぞれの挙動は $p_k$ の値に依存している。

$p_k$ が負の実数の場合:$e^{p_kt}$ は時間と共に指数的に減衰する。
$p_k$ が正の実数の場合:$e^{p_kt}$ は時間と共に指数的に増大する。

指数に純虚数を持つ指数関数は三角関数で示されることから、
$$e^{j\omega t}=\cos \omega t + j \sin \omega t$$$p_k$ に虚数部がある場合:$e^{p_kt}$ は振動する。
$$\begin{eqnarray*}e^{p_kt}&=&e^{(\sigma_k+j\omega_k)t}\\
&=&e^{\sigma_kt}(\cos\omega_kt+j\sin\omega_kt)\end{eqnarray*}$$
※ 物理系の伝達関数の複素極は必ず複素共役のペアで現れるので、$p_k=\sigma_k+j\omega_k$ が極ならば、$p_{k+1}=\sigma_{k+1}+j\omega_{k+1}$ も極になる。更に係数$A_k, A_{k+1}$ もまた互いに複素共役の関係になる。結果、虚数部分はお互いに打ち消し合い、時間領域での応答は純粋な振動モードとなる。<。。。と書いてあるけれど係数も複素共役ってどういうことなのか良く分からない>

$p_k$が純虚数 $j\omega_k$ の場合:応答は定振幅の振動になる。
$p_k$が複素数 $\sigma_k+j\omega_k$ の場合:実部 $\sigma_k$ の正負で指数的に増大するか、減衰するかになる。

これらを総合すると、応答はそれぞれの極に対応する項の線形結合になっていて、項の性質は極の実部の符号で決まる。極の実部が正ならば、その項は時間と共に増大し、不安定になる。極の実部が負ならば、その項は減衰し安定になる。
⇒「安定なシステムは、全ての極が複素平面の左半面に存在しなければならない」

さらに、極が虚数部を持つとき、システムは振動的な応答を示す。虚数部の絶対値が大きいほど振動は早くなる。

特別な場合


多重極

伝達関数の部分分数展開は、分母がべき乗になって現れる場合がある。
$$G(s)=\cdots+\frac{A_j}{(s-p_j)^\mu}+\cdots$$
この極を「時数 $\mu$ の多重極」といい、この項の時間応答は $t^{\mu-1}$ が付く。
$$y(t)=\cdots+A_jt^{\mu-1}e^{p_jt}+\cdots$$
また、多重極 $A_j/(s-p_j)^\mu$ が部分分数展開で現れるときは、より低次の項すべて $A_k/(s-p_j), A_l/(s-p_j)^2,\cdots,A_m/(s-p_j)^{\mu-1}$ が現れる。

極軸上の極

極が純虚数である場合、極は極軸上に位置する。その項の時間応答は時間が変化しても増加も減少もしない。これを安定限界という。虚軸上にある多重極は、時間応答の項 $t$ が付くので安定限界のモードではない。


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